the catcher

日曜、渋谷。行く当てもなく街を歩いていると、どこからか呼ぶ声。こうした時、振り返って良いことが起きた試しはない。しかし、振り返らないわけにもいかず、振り返ってみたら、案の定、捕まった。

曰く、手相の勉強中。見せろというので右手を見せたら、「すごく現実的」だの「心を閉ざしてる」だの、勝手に言ってくれる。ま、かなり当たってるんだけど。しばし言葉のやりとり、コールドリーディング。微妙に外して答えていたつもりだったが、それなりにプロファイルされてしまって、自分の単純性にちょっとがっかりする。

物を売り金銭を得る。ある種のプロフェッショナルの技術観察、これもまた社会勉強。そんなことを考えながら聞いていても、こんこんと続くお話半時間。いささか立ち疲れ、どう逃げたものかと考えていると、あやうく連行されそうに。事務所まで行ったらさすがに気が持つ自信がない。

できる限りの理性的な応答。現実主義者は占いを信じず、心を閉ざしているから、キャッチの言うことは信じない。なんとか逃げられたはいいが、いまひとつ、勝った気がしないのはどうして何故だろう。ま、本当に本当の現実主義なら、ロックも聴かず、SF 映画も観ないだろうと、一人得心、慰める。

よく、キャッチに捕まる。捕まえやすく見えるのか、騙しやすく見えるのか。なんでもいいが、なんにせよ、まともに対応するだけ労力の無駄だなと、当たり前の結論を。