みんな湿った夢を見る

曇った空、湿った現実。ベッド裏返して、戦慄。

このところ、何か不穏な空気は感じていた。ベッドの下に隠している種々のブツに、ときどき付着する緑の謎の微粉末。掃除に掃除、掃除すれども減らぬ緑。日の当たらぬ我が家、これも何かの緑かなとやや諦念を抱きつつ数日。

しかし、いくらなんでも 3 日前に買ったばかりのふとん乾燥機に緑が付着しているのを発見した時点で、この問題には何か大きな裏があるというか、明らかにベッドの下の上の裏があやしいというわけで、裏返したら振り出しに戻る。

ありえないとしか表現しようのない、素敵なコロニー世界地図。イロトリドリノセカイに心おどらせる暇もないまま汗かきさぶいぼ阿鼻叫喚。乙女のごとく奇声を上げたのち半時間も立ちすくんでみたい心境であったものの、すくむ肩、片手にカメラ、日本人。

ファインダー越しに覗けば別世界かと思ったものの、そんなこともなく現実は現実であって逃げられず、奇妙に落ち着き払って対策を練る。いかにカラフルだろうと敵は所詮は木材へのパラサイトなわけであり、さすがに塩素はまずかろう。ワケもわからず、とりあえず薄めた中性洗剤でぬぐった後に、ふとん乾燥機でぬし殺しの刑に処す。

マットレスの下に敷いていた除湿シートが助けにならぬ、日の当たらない我が家にて一人凍える。それなりに対策されつつこれだけの成果を上げてしまう我がベッドのポテンシャルが恐ろしい。これだけの状態になるまで全くに気づかずにのほほんと眠り続けた自分が恐ろしい。ついでに、写真で見返してみると全然大したことなく見えてしまう己のフォトグラフィックな才能の無さも恐ろしい。

ものごとは、取り返しのつかなくなるその瞬間まで滞りなく進む。気づかないのは悲しいが、気づいたところで気づかなかったほうが良いと思うのだろう。それでも、とりあえず、底が抜ける前に気づくことができただけ、私は幸いである。